コンセプト[]
ボラー語は、「ヤマトよ永遠に REBEL3199」に登場する架空の星間国家ボラー連邦の公用語である。ボラー連邦に関する設定を担当した佐山善則氏によると、「旧ソ連のイメージ」をベースとして、左右非対称感や単純パターンの羅列、マス目状の点描で空間を埋めつつ、オールドスタイル感を滲ませる雰囲気に仕上げたという。
ボラー語表記参考(『ヤマトよ永遠にREBEL3199 第3章 群青のアステロイド コンセプトデザイン読本』)
佐山氏によると、ボラー語は接続詞を使用せず単語の羅列でできていると想定して、起点と終点の間をドミノのように繋げていき、全体として意味を持つようなビジュアルとしての面白さを狙ったという。英語形式の表記だと縦方向では使いずらくなるため、韓国語のハングルを参考に、縦並びの母音に対して横方向の共通子音を組み合わせる形で纏めたとされる。しかし、この表記法だとモニターグラフィックスにおける表記では表示スペースを取ってしまうこと、穴埋め的な表記に適さないという理由から、特別な表記に限って使用する形になったという。
劇中での使用[]
『ヤマトよ永遠に REBEL3199』では第3章までの使用例は少ない。セリフとしての登場は第1章冒頭で「方位ザァーキに感!」のほか、第2章での「ビェシュナ・ベムラーゼ」のみ。また第2章ではラブロコフ艦橋のモニターにボラー語のダメージコントロール表示が確認できる。尚、第1章時点でもラブロコフ艦橋のモニターにボラー文字が確認できるが、「ボラークウボガノンダガタ(=ボラー空母ガノンダ型)」のように日本語をそのままボラー文字で置換するという方法がとられている。
文法[]
文法設定に関しては小説家の皆川ゆか氏が担当する。皆川氏によると、佐山氏が考案した表記法が何らかの規則性をもって並んでいると解釈し、単語などを考案したという。最初に総監督・福井晴敏氏により「ビェシュナ・ベムラーゼ」(ベムラーゼよ永遠なれ)のフレーズが提示され、そこから皆川氏が拡張し、現在製作スタッフ内では600単語ほどの「和ボ辞典」なるものがあるという。第3章までで劇中ではこの1フレーズしか登場していないものの、第4章ではオリジナルシリーズ・宇宙戦艦ヤマトⅢの内容がベースになるとの胸が発表されているため、何らかの形で登場することが期待される。
語根構成[]
皆川ゆか氏によると、ボラー語は語根の組み合わせで単語を拡張できるように作られている。そのため、基本単語と文法がわかればファンでも「ペルセウス方言のボラー語」など独自の創作ができると述べている。
語根構成の例[]
「止まる」という意味の動詞「ゴレクラ」は、ゴ(否定)+レク(足)+ラ(~を使う)という語根の組み合わせからできており、「移動する」という意味の「レクラ」の否定形として「止まる」という意味を成す。否定語の「ゴ」は、漢文の「不」「非」と同じ使い方の語根として成語を構成する。
また、ボラー連邦の艦艇がもつ「コグダール機関」はボラー語で「コグダール・アニャースル」といい、「次元展開」を意味する。「コグダール」は、コグ(次元)+ダル(手のひら)+[ラ](~を使う)+イル(~という状態にある)[名詞化接尾辞]という構成になっており、波動エネルギーを得るために行われる余剰次元の展開を意味する。
ガミラス語翻訳監修を担当する吉開清人氏のブログで「ビェシュナ・ベムラーゼ」というセリフについて「ヴィ エシュ ナ ベムラーゼ」で「ベムラーゼ様、長く栄えてください」(意訳してベムラーゼよ永遠なれ)を意味すると述べられているが、上記の内容からすると、ヴィ+エシュ+ナという語根構成になっていると考えられる。
表記体系[]
ボラー語は独特な表記体系を持つ。皆川氏によると、可読性優先の「人民書字」と、公文書などで使用される「教導書字」があるとされる。「人民書字」は第2章にてラブロコフ艦橋モニターに表示されたように右から左へと横書きで表記されるもので、この際単語の区切り(スペース)は「◉」の記号で表される。「教導書字」はクロスワードパズル的な表記で、この複雑な表記方法にもボラー連邦の文化的背景があるようだ。
単語[]
現在公表されているボラー語は以下の通り
ガノンダ:愛国心
ラブロコフ:栄誉を司る船(者)
アマンガ:大破壊
クロトガ:英雄的な行動
アンネ・ランティル:光の砲(陽電子砲)
アブロ・ランティル:偉大なる勝利の砲(ボラー砲)
ゴ:否定語
レク:足
ダル:手のひら
ラ:~を使う
コグ:次元
イル:~という状態にある[名詞化接尾辞]
コグダール:次元展開(コグダール機関=コグダール・アニャースル)
ゴレクラ:止まる(移動する=レクラ)
背景[]
ボラー連邦は、さまざまな惑星文明の要素を取り入れながら進化していったため、異なる言語の混合により発音が多様になったとされる。この現象は、地球の古英語がロマンス語系の影響を取り入れて、より複雑な言語構造へと変化していった過程に似ている[1]。さらにこのボラー語は、ボラー帝政時代と、ベルム・フォン・ベムラーゼによって指導された革命闘争[2]、そしてそれに続くボラー連邦の建国[3]を経て、大きく変化したことが想定される。